インターネットで購入したED治療薬の約6割が偽造品であることが、ファイザー、バイエル薬品、日本イーライリリー、日本新薬の4社による合同調査で明らかになった。調査結果を受けて4社は、個人輸入した医薬品が、安心して服用できるかを見分けることは極めて困難で、健康被害を受ける可能性が否定できないと、注意を呼びかけている。
ネットを介して個人輸入した医薬品に、偽造品があることが社会的にも知られ、最近では真偽を確かめるために、個人輸入した医薬品を医療機関に持ち込むケースも散見されるという。ただ、国内に偽造医薬品がどの程度持ち込まれているかは不明だ。調査は、その実態を把握しようと実施された。
調査されたのは、「バイアグラ」「レビトラ」「シアリス」の3製品。方法は、日本国内と、日本人による偽造薬販売の報告があるタイ国内で、実質的に販売しているそれぞれ30サイト、合計60サイトから各製剤を1サンプルずつ購入。各社が真偽を鑑定し、含有成分について化学分析を行った。
その結果、全体では55・4%が偽造品で、国内購入分では43・6%、タイ購入分では67・8%に上った。
偽造医薬品の化学分析では、有効成分の含有量が表示と異なるものや、有効成分を含まないものなど、品質には大きなばらつきがあり、健康被害の実態は明らかではないものの、製造・流通過程も含めて、問題が多いことが確認されている。
また、真正品と偽造品を外観上で見分けることは困難であったほか、偽造品の流入ルートも様々で、サーバの所在地、発送元などによって、真正品と偽造品を見極めることも難しいという結果だった。
調査結果を受けて、東京歯科大学市川総合病院泌尿器科の丸茂健教授は、「インターネットで購入したED治療薬の、約6割が偽造品であったことは大きな問題。EDの専門医間でも、健康被害の可能性が危惧されている。相談しづらいからと、医師の診断を受けずに、安易にインターネットなどでED治療薬を購入して使用することを避け、まず医療機関を受診していただきたい。それがED治療の早道であり、また患者さんの健康維持にもつながると考えている」とコメントしている。