日本薬学会の次々期(2011年度)会頭候補に、西島正弘氏(国立医薬品食品衛生研究所所長)が決まった。11月の理事会で決定されたもの。次期会頭は現会頭の松木則夫氏(東京大学薬学研究科教授)が引き続き務める。次期会頭以下の新役員は、第130年会開催前日の来年3月27日に、岡山市の就実大学キャンパスで行われる10年度通常総会で承認される。また、10年度の日本薬学会賞など各賞受賞者も決まった。
次期役員では現会頭の松木氏が、正式に10年度会頭候補として選出され、次期副会頭候補には西島氏のほか、馬場明道(大阪大学大学院薬学研究科教授)、11年春の第131年会組織委員長を務める奧直人(静岡県立大学薬学部教授)の両氏を加えた3氏が選ばれた。
西島氏は国立予防衛生研究所、国立感染症研究所の要職を務めた後、同志社女子大学薬学部教授を経て、06年9月から現職を務めている。他の役職としては厚生労働省の厚生科学審議会臨時委員、薬事・食品衛生審議会委員、経済産業省では日本工業標準調査会委員なども務めている。
また、日本薬学会賞など10年度の各賞受賞者も決定した。授賞式は第130年会前日の10年度通常総会終了後に行われる。
なお、第130年会は「安心と安全を担う薬学:創薬から医療に亘る最前線研究」をテーマに、来年3月28日から3日間、岡山市内の数会場で開催される。
各賞の受賞者と受賞研究等は次の通り。
薬学会賞(受賞3件/応募6件)
入村達郎(東京大学薬学系研究科教授):糖鎖生命科学を通した免疫と病態の解明
西沢麦夫(徳島文理大学薬学部教授):水銀トリフラートの化学を基盤とする有機合成と創薬化学への展開
松田彰(北海道大学大学院薬学研究院教授):ヌクレアーゼ抵抗性化学修飾核酸の開発研究
学術貢献賞(3件/6件)
石川勉(千葉大学大学院薬学研究院教授):グアニジンケミストリーの展開(第1A部門)
中島憲一郎(長崎大学教授・副学長):生体関連物質の高感度計測を目的としたルミネッセンス検出法の開発と応用(第2部門)
山本恵司(千葉大学理事・副学長):固体状態での分子間相互作用の解析と分子製剤学への展開(第4A部門)
学術振興賞(4件/7件)
柴田哲男(名古屋大学大学院工学研究科教授):創薬開発を志向した有機フッ素化合物の触媒的不斉合成(第1A部門)
塚本佐知子(熊本大学大学院薬学研究部教授):創薬を指向した天然薬物学研究(第1B部門)
榎本秀一(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科教授):大型加速器を用いたマルチトレーサー法による多元素同時代謝追跡手法の確立と新規計測法の開発研究(第2部門)
北村佳久(京都薬科大学准教授):ドパミンニューロン保護および再生に関する分子薬理学的研究(第4B部門)
奨励賞(8件/20件)
阿部洋(理化学研究所基幹研究所専任研究員):生細胞内遺伝子発現の解析と制御を目的とした機能性核酸分子の創製
荒井緑(千葉大学大学院薬学研究院准教授):天然物様化合物を軸とした神経幹細胞・癌細胞へのアプローチ
楠原洋之(東京大学大学院薬学研究科准教授):腎・脳への薬物分布を支配するトランスポーターの分子実体・機能の統合研究
熊谷直哉(東京大学大学院薬学研究科助教):数種の革新的不斉触媒の開発と医薬品合成への応用
瀬木(西田)恵里(京都大学大学院薬学研究科特定准教授):プロスタノイド受容体の病態生理的役割の解明とうつ病の発症・治療に関する分子メカニズムの解明
高崎一朗(富山大学生命科学先端研究センター助教):帯状疱疹痛と帯状疱疹後神経痛の動物モデルの開発およびアロディニアの発生と抑制作用の機序の解明
花岡健二郎(東京大学大学院薬学系研究科助教):バイオイメージングへの応用を目指した機能性ランタノイド金属イオン錯体の開発研究
吉岡靖雄(大阪大学臨床医工学融合研究教育センター特任講師):レセプター指向性を有する蛋白性アンタゴニストの創製と自己免疫疾患治療への展開
創薬科学賞(2件/3件)
長瀬博(北里大学薬学部教授)ほか:新規メカニズムに基づく難治性そう痒症治療薬塩酸ナルフラフィンの創出
早川勇夫(第一三共研究開発本部研究開発企画部フェロー)ほか:キノロン系合成抗菌薬-オフロキサシン、レボルロキサシン、シタフロキサシンの創製
教育賞(2件/2件)
佐藤政男(徳島文理大学薬学部教授)、松葉和久(名城大学薬学部教授)