|
「薬価制度改革と後発品の現状・課題」をテーマとしたセミナーが開かれ、前日本医師会副会長の櫻井秀也、前中央社会保険医療協議会薬価専門委員の八代光夫、前日本薬剤師会副会長の漆畑稔の各氏が、ジェネリック(GE)医薬品メーカーがCMなどで、GE薬の安さを強調し過ぎていると批判。懸念材料とされる品質、安定供給、情報提供について、「まず医師や薬剤師に理解されるPRをすべきだ」と指摘した。
櫻井氏は有名俳優を使ったCMなど、GE薬メーカーの広告宣伝を取り上げ、「価格が安いから使いましょうは疑問。また、患者さんが選ぶというのは悪くないが、それには全ての情報を提供する必要がある。価格だけ強調されると、薬は価格だけで選ぶのかとなってしまう」と主張した。
その上で「CMに使う費用があるなら、もっと安定性や安全性の情報を医師や薬剤師に提供してはどうか。そんなふうに医師に思わせてしまっては、結局のところ損だ」と述べた。
八代氏も同調した上で、「(GEメーカーには)売り逃げするとか、安かろう悪かろうという感覚が残っている。これを払拭するには時間がかかる」とし、医薬分業が浸透するのに十数年かかったのと同様、十分な時間をかけて理解を促していく“地道な努力”を求めた。
漆畑氏も「安いとか高いではなく、医師の治療手段としてのGE薬という主張をすべきではないか。実際にアンケートや薬局での実感では、『安い』というのは患者への説得材料として弱い」と話した。
それに対し沢井製薬社長の澤井弘行氏は、「品質について一言、二言で説明するのは難しい。一言なら『(先発品と)同じです』となる。その点『安い』は明瞭。ただ、結果としてそこがCMで突出したことは、申し訳ないと思っている。何とか品質の方をもっと強調していきたい」と語った。
参照価格制の導入論を牽制
またセミナーでは、参照価格制度の導入論も取り上げられた。八代氏は、過去の論議で反対した経緯に触れた上で、参照価格制が取り入れられたら、後発品は市場性を失うと警鐘を鳴らした。
参照価格制度は先発品も後発品も全部括って償還価格(参照価格)を決め、その価格から突き出た部分を患者が負担するという考え方だが、八代氏は医療機関が患者負担分を請求できないと見ている。そうなると、先発品の価格は償還価格に張りついてしまい、後発品は先発品との価格優位性を失って、成り立たなくなるという見方だ。八代氏は「薬剤の財源が出るので、行政にとって都合のいい制度だろう」と述べた。
澤井氏は、「ドイツのような制度だと、先発品が償還価格まで下がり、GE薬はさらにそれより下げる。これでは医薬品産業が衰退してしまう。その意味でも参照価格には反対だ」と主張した。櫻井も、「混合診療の考え方と同じこと」「日本の公的医療保険制度の原則である現物給付も破壊してしまう」と、導入論を強く牽制した。