厚生労働省は10日、中央社会保険医療協議会診療報酬改定結果検証部会に、後発品使用状況調査の結果を提出した。それによると、薬局の後発品調剤を妨げる最大の理由として、在庫管理負担が大きいことが浮き彫りになった。2008年度改定では、後発品対応に伴う費用を補填する後発医薬品調剤体制加算が新設されたが、厚労省の磯部総一郎薬剤管理官は、「その辺の手当て、負担をどう考えるかが、この問題の検討事項ではないか」と指摘。同加算のあり方が、次期改定に向けて中医協で問われることになる。
調査によると、今年7月末の1週間に受け付けた処方せんのうち、後発品へ変更可能なものは68・5%で、昨年12月の前回調査から2・9ポイント増加。このうち、実際には後発品に変更されなかった処方せんの割合は、前回から8・6ポイント減少したものの、66・2%と高水準で、中医協が“ボトルネック”と問題視する薬局の対応不足は、解消されていないことが分かった。
薬局の後発品調剤に対する姿勢は、「積極的」が16・4%、「銘柄によって」が43・1%で、逆に「あまり積極的でない」が33・2%だった。薬局が後発品採用に足踏みする理由は、「備蓄に伴う不良在庫の拡大等の在庫管理負担」が68・1%で最も多く、「近隣医療機関が消極的」43・1%、「後発品の説明に時間がかかる」28・7%、「効果に疑問」27・7%、「安定供給の不備」26・6%となっている。
後発品に関する説明状況については、変更可能処方せんを持参した患者の、半数以上に説明を行わなかった薬局が77・0%を占めた。主な理由は、「患者から不要と言われた」が49・5%、「患者が多く、時間的余裕がなかった」が48・8%、「備蓄品目数が少ない」が33・2%など。単数回では、時間的余裕がないことを挙げる薬局が最も多かった。また、後発品説明と服薬状況確認を、処方せん受付時に行っている薬局は36・6%にとどまった。
一方、病院の後発品対応姿勢については、入院患者への使用に「積極的」が37・3%、「後発品のあるものの一部を使用」が44・8%で8割が前向きだった。外来患者への院内処方の判断は、「積極的」が20・2%にとどまり、「個々の医師の判断」が48・1%と半数を占めた。外来で後発品処方を行わない理由は、品質・効果への疑問や、副作用への不安、情報提供や安定供給の不備を挙げる医師が多かった。後発品処方を進める条件としては、品質保証が十分であることの周知徹底や、後発品メーカーによる情報提供・安定供給体制の確保を求める意見が多かった。
また、後発品処方・調剤を頼みやすくするための対応を患者に聴いたところ、「診療時に医師が説明してくれたり、使用の意向をたずねてくれる」が64・3%と最も多く、次いで「処方せん受け付け時に薬剤師がたずねてくれる」が54・7%だった。
検証部会側からは、牛丸聡委員(早稲田大学教授)が、「心情的には医師が処方してくれれば、患者もいいですよということになるのでは」と述べ、医師の理解を進めることを、後発品促進のポイントとして指摘。磯部薬剤管理官も「やはり医師から後発品を処方するかをたずねることが、非常に効果があると思う」との認識を示した。
このほか調査では、患者が医師や薬剤師に、後発品使用を要請する際に使用できる「希望カード」の認知状況も調べた。患者の認知度は20・4%で、特に被用者保険加入者で高かった。