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【睡眠時間】うつ状態と強い関連性‐短くても長くてもリスク高まる

2006年11月29日 (水)

兼板専任講師
兼板専任講師

 睡眠時間が短すぎても、長すぎてもうつ状態が高まることが、日本大学医学部の兼板佳孝専任講師らの全国約2万5000人を対象にした大規模疫学調査で明らかになった。最もうつ状態の割合が低かった睡眠時間は「708時間」で、うつと睡眠障害との関係が疫学調査で検証された。また調査では、睡眠障害のうちうつとの関連が強いとされてきた早朝覚醒より、なかなか寝付けない入眠障害との関連の方が強いことも示された。

 調査は、睡眠障害とうつに密接な関連があることから、両者の関係を知り、今後の治療に役立てることを目的に行われた。2000年の旧厚生省保健福祉動向調査に合わせて実施されたもので、うつと不眠の関係を調べた調査としては国内外で最大規模という。うつの判断は、疫学的な観点からうつ状態(臨床診断上のうつではない)を判定する「CES”D」を用いて行った。

 その結果、708時間の睡眠をとっている人が最もうつ状態である割合が少なく、23・5%。それより短くとも長くともうつ状態の人の割合は高くなる傾向が見られた。うつ状態の人は5時間未満では47・9%、9時間以上10時間未満では32・1%で、これらは統計的にも有意差が認められている。

 また、入眠障害など何らかの睡眠障害を持つ人たちは、うつ状態の人は4割前後おり、持っていない人たちと比べても有意に高い割合だった。

 それら睡眠障害の症状とうつ状態との関連性を多変量解析で調べたところ、早朝覚醒より入眠障害の方が強い関連性があることが分かった。より重いうつ状態を抱える人との関連性でも同様の傾向がみられている。現在の学説でうつとの関連が強いとされている早朝覚醒については、むしろ高齢という年齢との関連が強い結果となった。

 そのほか、寝付けないとして「寝酒」をすることは、夜中や早朝に目が覚める中途覚醒を引き起こすことが示唆された。これまで血中のアルコール濃度と脳波の関係など生理学的には示されていた知見だが、疫学的にもそれが追認される形となった。

 兼板講師は、睡眠指導する上で参考となるデータだとしている。



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