栄研化学は来月から、新型インフルエンザウイルスを特異的に増幅する「LAMPプライマーセット」など4新製品を投入し、売上拡大を目指す。11月末には、新型インフルエンザウイルスの検出用キットを、体外診断用医薬品として申請する予定だ。27日に開いた中間決算説明会で寺本哲也社長は、「従来のPCR法に比べて検査手順が簡単で、最短で45分程度で検出できる」と強調。診断薬として早期の市場投入を目指したいと述べた。
これまで新型インフルエンザの確定診断として、重症患者などを対象にPCR法を用いた遺伝子検査が行われてきた。こうした中、同社が新発売する「LAMPプライマーセット」など4製品は、独自技術のLAMP法を用いた遺伝子増幅によって、新型インフルエンザウイルスとA型インフルエンザウイルスの検出に役立てるというものだ。さらに現在、体外診断用医薬品として、新型インフルエンザウイルス検出用キットを開発中で、寺本氏は「11月末には承認申請を行いたい」とした。
LAMPプライマーセットを用いた新型インフルエンザウイルスの検出は、咽頭か鼻腔の拭い液から検体を採取し、専用の抽出試薬を用いて数分でRNAを抽出できるのが特徴。得られた抽出液と乾燥剤型用のプライマーセットをRNA増幅試薬に加えることで、迅速に遺伝子を増幅できる。明らかに新型インフルエンザウイルスに感染している場合は、15分程度で判定できるという。また、RNA増幅試薬は、あらかじめ反応チューブ内に試薬を乾燥状態で保っているため、従来のPCR法に比べて試薬調整や分注作業の簡素化に成功。45分程度の検出を可能にした。
同社は、「LAMPプライマーセット」の発売に続き、11月末には、体外診断用医薬品として承認申請を行う計画だ。09年度には、120キットの販売を予定している。