厚生労働省は22日の中央社会保険医療協議会総会に、今年4月から7月までの医療費動向を報告した。7月からは慢性期入院医療に新たな診療報酬体系が導入されており、7月の数字をみると、医科入院全体、高齢者入院の医療費、1日当たり医療費とも、406月の対前年同期伸び率より小さくなるなど、改定の影響がみられる結果となっている。
報告された数字によると、407月までの4カ月間の医療費は、対前年同期と比べるとほぼ横ばいで推移、1日当たり医療費で0.8%増え、受診延べ日数(患者数)は0.9%のマイナスだった。
一方、7月からは慢性期入院医療の新たな診療報酬体系が導入されているが、その影響を探るため、406月と7月に分けてみた場合、高齢者の医科入院医療費が、7月は対前年同期比で0.9%増にとどまり、406月の1.9%増と比較すると、1ポイント低くなっていた。また、1日当たり医療費は7月が0.3%減、406月が0.5%増であり、0.8ポイント低下していた。
同様に、医科入院全体の医療費を対前年同期比でみると、7月は0.2%減で、406月の0.2%増と比べ0.4ポイント低い状況。1日当たり医療費は7月が0.7%増に対し、406月は0.9%増であり、同様に0.2ポイント低い数字だった。
受診延べ日数の対前年同期比は、高齢者の医科入院、医科入院全体ともマイナス0.2%であり、受診延べ日数の動向にはそれほど大きな変化はみられていない。
この改正は、医療必要度等が低い患者の診療報酬点数が低く抑えられているため、高齢者の入院医療に、より影響が現れるものと厚労省はみている。
一方、経営主体別の1日当たり医療費について対前年同期比をみると、大学病院の7月は3.1%増、406月は2.1%増で1ポイント伸び率が増えていた。同様に、公的病院も7月が1.8%増、406月が1.5%増であり、0.3ポイント増えている。それに対し、民間病院は7月をみると0.2%減であり、406月が0.8%増だったのに比べると、1ポイント低下しており、改定の影響が大きく出ていた。
この日の中医協総会で、診療側の竹嶋康弘委員(日本医師会副会長)は厚労省の資料を踏まえ、「われわれが民間病院を分析した資料を次回の会合に提出したい」と述べ、改めてこの問題を議論したい考えを表明。日医の申し出に支払側も合意したことから、29日の会合で再度この問題を改めて議論することになった。