日本医療機能評価機構は9月29日、「医療事故情報収集等事業」の第18回報告書を公表した。今年4~6月に報告のあった医療事故は408件で、このうち薬剤が関係したものは16件(全体の3・9%)だった。一方、1~3月に発生したヒヤリ・ハット事例は5万3721件で、処方・与薬など薬剤に関係する事例は1万3330件(24・8%)が報告された。
同調査では、医療事故事例は報告月別に、ヒヤリ・ハット事例は発生月別に、それぞれ集計を行っている。
期間中に報告のあった医療機関数は、医療事故事例が273施設、ヒヤリ・ハット事例が231施設だった。
薬剤による医療事故の発生場面で最も多かったのは、内服薬(5件)による事例で、他に静脈注射(3件)や末梢静脈点滴(3件)などが目立つ。
さらに事故の内容をみると、過剰与薬(3件)や処方量の間違い(2件)、薬剤の間違い(1件)など、処方・与薬に関する事例が多いことが分かった。
また、医療事故の当事者としては、看護師の284人と医師の227人が圧倒的に多く、薬剤師は6人だけだった。
一方、ヒヤリ・ハットについては、薬剤に関係する事例が、依然として高い割合で発生している。
薬剤に関係する事例の内訳をみると、処方・与薬が1万0544件(全体の19・6%)、調剤・製剤管理が1540件(2・9%)、与薬準備が1246件(2・3%)となっており、医療事故と同様に処方・与薬での発生率が高い。
発生要因としては、確認の不備が最多で、以下、思い込みや慌てていたなどの「心理的状況」、多忙・夜勤などの「勤務状況」が続く。