「未承認薬使用問題検討会議」は、今年度1次補正予算を財源に実施する未承認薬開発支援対象として、12品目を決定した。いずれも、会議が今年4月までに、国内導入が妥当と判断していたもの。補正予算による開発支援をめぐっては、適応外使用薬を含めて、候補品目を公募していたが、未承認薬については、既存制度の枠内で必要と判断していた品目に絞って開発を進めることとなった。適応外使用薬については、11月にも動き出す有識者会議で、公募品目から支援対象を選定する。
厚生労働省はこれまで、希少疾病用医薬品開発支援制度、検討会議による企業への打診、医師主導治験の普及策を通じた医薬品開発を支援してきたが、従来の枠組みでは対応が進まない品目も依然として多い。
そのため、開発資金を直接提供する753億円規模の基金事業が、自公政権下で決定した今年度補正予算に盛り込まれた。しかし、政権交代の影響で、推進母体となる有識者会議の立ち上げが遅れていた。ただ、同事業には2011年度までという時間的な制約があるため、現状で対応可能な部分については、「粛々と進める必要がある」と判断。未承認薬の開発は、検討会議が導入を促していた44品目のうち、治験が始まっていない14品目を候補に限定。この中から次の12品目の開発支援を決めた。
▽ストレプトゾシン(対象疾病:膵島細胞癌)
▽クロファラビン(小児急性リンパ性白血病)
▽ペグアスパラガーゼ(L‐アスパラギナーゼに過敏症の急性リンパ芽球性白血病)
▽アレムツズマブ(B細胞性慢性リンパ性白血病)
▽タルク(悪性胸水)
▽スチリペントール(乳児重症ミオクロニーてんかん)
▽ルフェナマイド(レノックス・ガストー症候群)
▽メサドン(癌性疼痛)
▽ヒトヘミン(ポルフィリン症)
▽テトラベナジン(ハンチントン病)[詳細な見積年間売上等の再提出が条件]
▽システアミン(シスチノーシス)
▽経口リン酸塩製剤(原発性低リン血症性クル病)
今後は、医薬品医療機器総合機構に治験相談を行ってプロトコールを固めた上で、有識者会議で支援額を決定し、開発資金を支払うことになる。候補のうち残った、▽フェニル酪酸ナトリウム(尿素サイクル異常症)▽ベタイン(ホモシスチン尿症)--の2品目についても、メーカーが治験に乗り出せば、改めて資金提供を検討する。