富士経済は17日、ジェネリック(GE)医薬品市場の調査結果を発表した。それによると、2008年のGE薬市場規模は、2508億円に達する見通しで、06年の市場予測より8・8%増えるとするなど、引き続きGE薬が拡大するとみている。また、報告書では糖尿病治療剤、統合失調症治療剤、抗癌剤の3分野を注目領域とし、今後はこれら領域が市場拡大に大きく影響するとの見方を示している。
ここ数年、GE薬は順調に拡大し、05年には約2200億円に達している。DPC導入病院の増加や一部病院での代替処方を契機に、GE薬は売上増の傾向にあるが、さらに処方せん様式の変更などにより、GE薬の売り上げはさらに拡大するのではないかと分析している。
08年のGE薬市場のシェア上位5領域は、[1]循環器官用剤:545億円(06年度比5・2%増)[2]感染症治療薬:355億円(20・3%増)[3]消化器官用剤:267億円(1・8%減)[4]解熱消炎鎮痛剤(外用剤含む):190億円(0・5%減)[5]高脂血症治療剤:139億円(3・0%増)‐‐と予測し、現在トップの循環器官用剤が1位の座を確保すると見ている。
また、期待される領域としては、06年にGE薬が販売されたクラリス/クラリシッド(大正富山医薬品/アボットジャパン)に加え、07年にはクラビット(第一製薬)のGE薬販売が予定されている抗生物質を挙げている。
一方、注目領域として取り上げているのは▽糖尿病治療剤▽統合失調症治療剤▽抗癌剤””などの領域。
糖尿病治療剤は08年は40億円(06年見込は26億円:GE薬構成比2・0%)になると予測。患者数増加と市場拡大に加え、▽ベイスン(武田薬品)とキネダック(小野薬品)のGE薬の上市▽アマリール(サノフィ・アベンティス)のGE薬が07年に発売見込み‐‐などで、さらに市場が活性化すると見ている。
また、統合失調症治療剤は21億円(12億円:1・6%)に拡大する見通し。報告書ではジプレキサ(日本イーライリリー)、リスパダール(ヤンセンファーマ)、セロクエル(アステラス製薬)などの非定型精神病剤が市場を牽引するが、06年にエビリファイ(大塚製薬)が発売されたことで、さらに市場が活性化すると指摘。非定型のGE薬は現在ないが、リスパダールのGE薬が07年に発売されると予想、その際にGE専門企業だけでなく、精神科に強い新薬系企業の参入も見込まれることから、注目分野に挙げている。
一方、抗癌剤分野は79億円(53億円:1・7%)にまで拡大する見通し。癌患者が年々増加し、患者数も増加していることや、分子標的治療剤、抗癌ホルモン剤、微小管阻害剤などの製品が市場を牽引すると見ている。また、抗癌剤のGE薬は毎年102製品販売されていることや、07年には制吐剤カイトリル(中外製薬)のGE薬が販売される予定であり、こうした点から、注目分野に挙げた。