日本医療機器工業会は、新型インフルエンザの流行拡大に備え、国産人工呼吸器「JAMEI‐A001」(仮称)を開発した。工業会会員の数社が協同して開発したもので、現在、承認申請中。10月末にも出荷を開始する予定だ。開発総額は3億円で、会員企業や家電・自動車メーカーとの協業体制により、今冬に1000台の供給を目指す。理事長の松本謙一氏(サクラグローバルホールディング代表取締役会長)は、8日に都内で会見を開き、「ハイエンドの人工呼吸器ではなく、多くの医療機関で利用できるような、汎用性の高い人工呼吸器を開発し、国民の安全に貢献したい」との考えを示した。
新型インフルエンザが世界的に流行する中、秋から冬にかけ、さらに毒性の強いインフルエンザが流行する危険性が高まっている。今後、国内でも重症患者の増加が懸念されており、呼吸不全の症状が出た場合の呼吸補助として、人工呼吸器の配備が必須となる。だが、国内の人工呼吸器市場の約93%は、輸入品で占められており、緊急時の安定供給に不安が残っていた。
JAMEI‐A001は、操作方法を標準化し、必要な機能に集約した国産人工呼吸器。多くの医療従事者が治療に携わる世界的流行(パンデミック)に対応し、人工呼吸器に精通していないスタッフでも使用できるように開発された。
さらに工業会では、新型インフルエンザの緊急対応人工呼吸器として、JAMEI‐A001よりも、より小型軽量化した人工呼吸器の開発にも着手しており、来冬の製品化を目指している。
これら2製品の開発によって、国産人工呼吸器のシェアを現状の約7%から約14%に倍増させる計画だ。松本氏は、「今回の開発を通じて、国内中小医療機器企業の振興につなげたい」と、今後の活動に意欲を示した。