前国会で継続審議となっていた、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症法)等の一部改正案が、14日の衆議院本会議で自民、公明、民主などの賛成多数で可決、15日には参議院本会議で提案趣旨説明が行われ、参院での審議に入った。
同法案は、バイオテロや事故による感染症の発生・蔓延の防止を含め、感染症予防対策を総合的に推進する観点から、病原体等の管理体制確立を図るもの。また、最新の医学的知見に基づき、入院・検疫等の対象となる感染症分類を見直すほか、結核予防法を廃止し、結核を感染症法の中に位置づけて、総合的な対策を実施することが柱となっている。
病原体等の管理では、病原性・国民の生命・健康に対する影響に応じて、1種病原体等から4種病原体等まで4分類し、レベルに応じて所持や輸入等の禁止、許可、届出、基準遵守等の規制を設けている。
また改正法案では、国や地方公共団体が講ずる施策は、国際的動向を踏まえると共に、人権を尊重しながら推進することを明記。国が病原体等を適正に取り扱う体制確保を含めた基本指針を策定し、都道府県はそれに基づいて予防計画をつくり、実施状況の調査や評価等を行っていく。
さらに感染症類型の見直しでは、1類感染症に南米出血熱を追加、重症急性呼吸器症候群(SARSコロナウイルスに限る)を1類から2類感染症に移行させ、新たに結核を2類感染症に追加した。さらに、2類感染症のコレラ、細菌性赤痢、腸チフス、パラチフスを3類感染症に移す。
一方、従来の結核予防法が廃止されることから、定期健康診断、登録票、精密検査、家庭訪問指導、医師の指示(DOTS)など結核固有の対策については、別項を設け、原則として今までの対策を継続実施していく。
衆院厚労委では、一部改正案を自民、公明、民主、共産、国民の賛成多数で可決すると共に、社民を除く各会派が共同提案した、▽新型インフルエンザの実効性ある計画を策定する▽感染症専門医等の確保など医療機関の体制整備▽結核対策の一層の充実‐‐などの内容を盛り込んだ7項目からなる付帯決議を全会一致で可決した。