CROの富士バイオメディックス(FBM)とインドの中堅CROのアキューテスト・リサーチラボラトリーズ(ARL、本社・ムンバイ)は、ジェネリック(GE)薬の開発支援や外資企業のPI支援などで業務提携した。FBMは、日本の半分以下というインドの低コストの開発環境を生かしたサービスの提供が可能になる。昨年日本に進出したARLは、日本での事業基盤を固めることができる。日本のCROがインドのCROと提携するのは初めて。
契約締結は10月25日。FBMは、ARLの日本、韓国、中国、台湾地域の総代理店となった。業務面では基本的に、治験業務はFBMが主に担い、ARLは開発化合物の血中濃度分析を、365日24時間稼働しているムンバイのラボで行う。
提携の背景には、開発費用の高騰により、低コストで、日米欧の各当局への申請が可能な質の高い研究開発が求められていることがある。そのニーズに、FBMはARLと組むことで応えたい考え。提携により両社で初年度4億円、3年後には20億円の売り上げを目指す。
当面は、GE薬の開発で求められる生物学的同等性試験の支援サービスが主力になるという。同試験はARLの得意領域でもある。厚生労働省が指導したGE薬の全規格揃えの動きを踏まえ、需要が高いと判断した。もう一つの主力事業としては、日本での取り組みが今後進むとみられている配合剤開発の支援を挙げている。
そのほか、インドから日本への進出企業、日本からインドへの進出企業に対する開発支援や、主に外資大手をターゲットに、インドでのPI支援に取り組む。ARLによると、インドでのPIは、海外で発見されたり開発された化合物についてはインド国内で実施できなかったが、法改正で可能になり、今回のサービスも実現につながった。
FBM取締役の岩崎稔経営企画室長は、「ARLのコストパフォーマンス、欧米にも対応できる質の高い業務は、顧客にとって(サービスの)選択肢を広げるものになる」と説明している。
昨年日本に進出して初の提携となったARLだが、日本支店のアキューテスト研究所の小林辰巳代表は、「実績のあるFBMと組むことで、日本の市場に早い浸透が図ることができる」と述べ、提携による事業基盤の確立に期待を寄せた。