会見に臨む北委員長(大衆薬協) |
日本大衆薬工業協会を含む一般用医薬品製造販売業5団体(日本医薬品直販メーカー協議会、日本漢方生薬製剤協会、全国家庭薬協議会、全国配置家庭薬協会)は9日、厚生労働省の高橋直人医薬食品局長に対し、改正薬事法の円滑な施行に向けた要望書を連名で提出した。要望書では一般用医薬品区分案の早期提示、容器等への表示事項の早期開示、生活者への情報提供方法、審査体制の整備、審査基準の見直しなどを求めている。
大衆薬協では、新販売制度への一元的対応を図るため、今年4月、協会内に組織していた「医薬品規制緩和問題協議会」を「医薬品販売制度対応協議会」(委員長:エスエス製薬北史男氏)に改組、新制度下で製薬企業が果たす課題について、協会内・関連団体と協議を重ねてきた。その結果、新販売制度を実効あるものとするには、官民の協力と広範囲にわたる環境整備が必要との共通認識が、メーカー5団体の間で得られたため、今回の要望書を取りまとめた。
要望書では、国民の利便性に配慮した新販売制度構築の観点から、「一般用医薬品区分案の早期提示」「直接の容器等への表示事項の早期開示」「区分変更についてのルール策定」を、生活者への情報提供という観点から「添付文書情報を基本とする」「情報提供手段としてのITの積極的活用」「医薬品等適正広告基準の抜本的見直し」を求めている。
さらに、国民のニーズに応じた品質・有効性・安全性に優れる一般用医薬品の審査体制確立が望まれるとして、「審査体制の整備と審査基準の見直し」「AUT制度の導入」を、改正薬事法では販売できなくなる「“水陸両用医薬品”の一般用医薬品としての承認取得」「福利厚生等を目的とした健保組合等への販売の継続」など、生活者が現在享受している利便性の継続確保も要望した。
大衆薬協の北委員長らは9日の会見で、メーカーが早急に取り組む問題は、リスク別3分類と製品告知・説明文書であるとし、製品告知方法の早期開示や、医薬品分類ルールの明確化などを求めたと述べると共に、「今回の大きな問題の一つは生活者への情報提供であり、メーカーの立場としては、既にある添付文書で十分だと考えている。違う文書を品目ごとに別途作成するのは、大きな作業を要する」と基本的姿勢を説明した。
また、ここ数年、大衆薬市場の縮小傾向が続いているが、その要因の一つに新製品が上市できないことを挙げ、北氏は「セルフメディケーション振興は行政も提言している。それには審査体制の整備や承認基準の見直しが不可欠。スイッチOTCの促進や、生活改善など慢性疾患に対応したものを、大衆薬の新たな薬効群として認めてもらいたいと、A区分の拡大も要望した」と述べた。