薬事・食品衛生審議会の指定薬物部会が9日に初会合を開き、厚生労働大臣から諮問を受けた亜硝酸イソブチルなど33物質(表)について、中枢神経系興奮等の作用を有する蓋然性が高く、保健衛生上の危害が発生する恐れのある薬物として、指定することが適当との結論に至った。これを受け厚労省は、薬事分科会報告などの手続きを経た上で年度内に省令を公布、来年4月1日から施行する。
違法ドラッグは、麻薬類似の有害性が疑われるにもかかわらず、インターネットやアダルトショップ等で販売され、現実に数多くの健康被害が報告されているもの。しかし今までの薬事法では、薬事法上の医薬品に当たることを先に立証した上で、無承認無許可医薬品として規制していたため、人体への摂取を目的としない医薬品以外の物品として擬装されるなど、実効ある取り締まりが困難になりつつある。
こうした状況を踏まえ、6月に公布された改正薬事法では、幻覚等を有する一定の物質を厚生労働大臣が指定し、流通面で規制をかけることにした。指定薬物となった物質は、医療・産業用など一定の用途に供する場合を除いて製造・輸入・販売等が禁止される。さらに、疑いがある物品に対しても、行政は検査命令を出すことができ、命令を受けた者は、検査中はその物品の製造、輸入、販売等ができなくなる。違反者に対する罰則も強化される。
改正薬事法では、指定薬物の指定について薬食審の意見を聴くとされていることから、9月の薬事分科会で指定薬物部会の設置が決められ、この日に初会合を開いたもの。
厚労相が部会に諮問したのは33物質。その中には通称「ラッシュ」と呼ばれ、健康被害も問題となっている「亜硝酸イソブチル」などの成分も含まれており、部会は指定薬物への指定が適当と判断した。同省は近くパブリックコメントを求めるほか、WTOへの通報、12月に開かれる薬事分科会へ報告など、所定の手続きを行い省令を公布する。