配合剤の喘息治療薬も登場へ
厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は8月28日、武田薬品が申請した糖尿病治療薬「ベイスン錠」の適応拡大「耐糖能異常における2型糖尿病の発症抑制」を了承した。同薬剤の効能・効果の追加は国内初となる。また、アストラゼネカの喘息治療薬「シムビコート」や、日本イーライリリーの肺動脈性肺高血圧症治療薬「アドシルカ」など6件の承認・一部変更承認も了承した。今月の薬事分科会で報告される。
<審議品目>
▽ベイスン錠0・2、同OD錠0・2(武田薬品工業が製造販売):有効成分はボグリボース。効能・効果は、食事療法・運動療法を十分に行っても改善されない場合の、耐糖能異常における2型糖尿病の発症抑制。原体・製剤とも毒薬・劇薬に該当せず。再審査期間は4年。
国内でプラセボ対照の臨床試験を実施したところ、プラセボに比べて同剤が2型糖尿病の発症を遅らせるデータが得られたという。承認条件として、▽投与中止例の追跡調査を含めた市販後臨床試験の実施▽長期使用に関する試験成績を医療機関に速やかに情報提供すること――を付した。
▽シムビコートタービュヘイラー30吸入、同60吸入(アストラゼネカが製造販売):有効成分はブデソニド・ホルモテロールフマル酸塩水和物。効能・効果は気管支喘息(吸入ステロイド剤および長時間作動型吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)。原体が劇薬に該当。再審査期間は6年。
同剤は、吸入ステロイド(ブデソニド)と長期間作動型吸入β2刺激剤(ホルモテロールフマル酸塩水和物)の配合剤。ブデソニドの単剤では、既に同社からパルミコートの製品名で販売されており、海外105カ国で承認されている。
▽フエロン注射用600万(東レが製造販売):有効成分はインターフェロン・ベータ。C型肝炎におけるウイルス血症の改善の効能について、リバビリンとの併用療法の効能・効果を追加した。臨床現場から、うつの副作用が少ない、ベータ製剤とリバビリンとの併用療法が要望されていた。原体・製剤とも劇薬。再審査期間は4年。
▽レベトールカプセル(シェリング・プラウが製造販売):有効成分はリバビリン。C型肝炎におけるウイルス血症の改善の効能について、インターフェロン・ベータとの併用療法の効能・効果を追加した。原体・製剤とも劇薬。再審査期間は4年。
▽アサコール錠400mg(ゼリア新薬工業が製造販売):有効成分はメサラジン。効能・効果は、重症を除く潰瘍性大腸炎。海外64カ国で承認されている。pH7以上の腸で溶けるように製剤設計されている。原体・製剤とも劇薬に該当しない予定。再審査期間は4年。
▽アドシルカ錠20mg(日本イーライリリーが製造販売):有効成分はタダラフィル。効能・効果は、肺動脈性肺高血圧症。臨床試験における日本人での使用実績が乏しいため、承認条件として全例調査がついた。原体が劇薬に該当する予定。再審査期間は、残余期間の2015年7月30日まで。
▽プログラフカプセル0・5mg、同カプセル1mg、同顆粒0・2mg、同顆粒1mg(アステラス製薬が製造販売):有効成分はタクロリムス水和物。重症筋無力症に関する効能・効果を変更し、胸腺摘出後の治療において、ステロイド剤の投与が効果不十分、または副作用により困難な場合に限定した条件を解除した。オーファン指定されており、原体・製剤とも劇薬。再審査期間は4年。
3成分の一変等を報告
また、次の医薬品の承認や一変が報告された。
<報告品目>
▽ノボラピッド50ミックス注ペンフィル、同50ミックス注フレックスペン(ノボ・ノルディスク・ファーマが製造販売):有効成分はインスリンアスパルト(遺伝子組み換え)。効能・効果はインスリン療法が適応となる糖尿病。
▽インジゴカルミン注20mg「第一三共」(第一三共が製造販売):有効成分はインジゴカルミン。効能・効果は、乳癌および悪性黒色腫におけるセンチネルリンパ節の同定。
▽ジアグノグリーン注射用25mg(第一三共が製造販売)、スズコロイドTc‐99m注調製用キット(日本メジフィジックスが製造販売)、テクネフチン酸キット(富士フイルムRIファーマが製造販売):有効成分はインドシアニングリーン。効能・効果は、インジゴカルミンと同じ。