大日本住友製薬は26日、グローバルで自社開発中の統合失調症治療剤「ルラシドン」の2本目の第III相試験(PEARL2試験)で、高い有効性と忍容性が得られたと発表した。5月に公表した1本目の第III相試験(PEARL1試験)に続いて良好な成績が得られたことから、2010年初めにも「FDAへの申請を行いたい」としている。同社では、ルラシドンを足掛かりに海外展開を目指しており、グローバル戦略はさらに一歩現実に近づく形となった。
PEARL2試験は、統合失調症治療におけるルラシドンの有効性と安全性を評価するため、全世界規模で2000人以上の患者が参加している第III相試験の一つ。
試験では、急性期統合失調症の入院患者478人を、ルラシドン40mg/日、120mg/日、オランザピン15mg/日の固定用量とプラセボ群に分けて、6週間投与された。オランザピンは、分析感度を確認するための参照薬として用いられた。
その結果、ルラシドン40mg、120mg群は、主要評価項目とした陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)や、副次評価項目の臨床全般評価尺度(CGI‐S)で、プラセボ投与群よりも高い有効性を示した。忍容性も良好で、中止脱落率もプラセボ群と同等だった。
また、対プラセボ比較で、ルラシドンはオランザピンと同等の有効性を示した。特に、オランザピンで出現が認められている体重増加や脂質代謝異常については、プラセボ群と同程度との結果が得られている。
多田正世大日本住友製薬社長は、「PEARL2試験のデータから、ルラシドンが統合失調症における重要な治療薬となると強く確信している。FDAへの新薬承認申請は、10年初めに行いたい」としている。