アステラス製薬は7日、ファイザーからライセンスを受けて同社が日本で販売している高脂血症治療薬「リピトール」(一般名:アトルバスタチンカルシウム水和物)のライセンス期間をめぐりファイザーと解釈が食い違ったとして、その期間を確認する訴訟を東京地裁に起こした。同剤は売上高900億円を超える大型製品。アステラス側は結晶形特許が満了する2016年7月8日と主張し、この確認を求めている。一方、ファイザー社は物質特許が満了する11年6月17日が期限だとしている。
リピトールは、日本では当時の山之内製薬が、同剤を創製したファイザーから開発と販売に関するライセンスを受け、00年5月に発売した。問題となった契約期間は、アステラスによると、発売後10年か特許が満了する日のいずれかの長い方で、最初の特許満了が10年を超すため特許期間が焦点となった。
現在、有効な特許には物質特許、製剤特許、結晶形特許があり、いずれの特許満了日を採用するかは、契約では明確になっておらず、両社に食い違いが生じたとしている。
ファイザー側の相次ぐ合併によって複雑になった権利関係を当時の山之内製薬と整理した04年時点から、この問題は双方で認識されていたという。しかし、その後の話し合いでも平行線を辿り、裁判所に判断を仰ぐことになった。
アステラスの田村隼也副社長は、「ライセンスは、製品を保護する全てを含めるのが通常だと思っている」と述べ、現時点では16年7月8日と、最も満了までが長い結晶形特許が切れるまで、ライセンス契約は有効だとしている。
ファイザー広報は、「びっくりした。訴訟に至る背景などいま答える材料を持ち合わせていない。訴状を見てから対応することになる」としている。
アステラス側は、この訴訟について契約期間の解釈などを第三者に判断してもらうものであって「両社が実施しているリピトールのコ・プロモーション活動に影響を与えるものではない」ことを強調している。