医薬情報担当者教育センターは、2005年度「MRの実態および教育研修の変動」調査報告書をまとめた。今回の調査により、[1]06年3月31日現在のMR総数は5万5701人で、女性MRが初めて10%に達した[2]MRの専攻分野別では、薬剤師MRが減少を続け、薬剤師1に対し理科系2・1、文化系4の比率となっている[3]女性MRの経験年数が長くなっている――などの状況が明らかになった。
調査は、センターに登録しているCSO17社を含む製薬企業230社にアンケート形式で実施し、225社から回答を得た。調査結果の概要は次の通り。
<MRの実態>
◇MR数
MR総数は5万5701人で、男性は5万106人(90%)、女性は5595人(10%)だった。前年より0・9%増加したが、増加率は03年の3・3%、04年の5・8%に比べ鈍化している。センターでは大規模外資や統合した内資企業のMR数調整が背景とみている。
今回、女性MR比率が初めて10%に達した。雇用規模が大きいほど比率は高く、MR数1000名以上の企業では12・2%となっている。MR認定証取得率は96%(男性96・3%、女性93%)で、調査開始以来、最も高率となった。
◇MR雇用規模別企業数
回答企業では、MR数ゼロから3000人近い規模まで多様。[1]1000人以上企業は2社増えて15社、MR数2万3913人(占有率42・9%)[2]500~999人企業は7社減り24社、4346人(30・2%)[3]100~499人企業は3社増え42社、1万1189人(20・1%)[4]99人以下企業は11社増え144社、3765人(6・8%)――である。
◇専攻分野
文化系出身者が53・3%(0・3ポイント増)、理科系が28・3%(1・4ポイント増)と増加している一方、薬剤師MRは13・5%と1・4ポイント低下した。女性MRの薬剤師比率は24・7%で、男性12・2%の倍以上である。
薬剤師比率は1000人以上企業が21・9%、500~999人企業は9・4%で、MR数の少ない企業ほど低い。薬剤師MRは男性の86・9%、女性の86・5%が、500人以上企業の39社に集中している。
また修士以上のMRは、前年度から100人増加して2030人(4%)となり、最終学歴が高くなる傾向にある。
◇経験年数
経験5年未満のMR数は1万0034人(32・5%)。女性では5年未満が86・2%を占めるが、5年以上経験者も587人から676人に増加しており、女性MRの就業年数が延長している。
◇年齢構成
30歳代が最も多く38・8%、次いで20歳代の28・4%、40歳代の22・1%となっているが、女性の場合は9割以上が20歳代である。99人以下企業では、20歳代比率が1・2ポイント上昇し5・3%になった。センターでは新卒者採用が活発化したものと推測している。
継続教育の実施率向上
<継続教育>
年間を通じて定期的(毎週、1週間間隔、毎月)に実施している企業は71%に達した。受講者の出席率(回答219社)は、164社(74・9%)が100%出席、90%以上出席の企業を含めると、ほぼ全員が参加していることになる。MR認定更新の要件に義務付けられているため、99人以下企業でも出席率が年々高まる傾向にある。
継続教育の実施状況を把握する方法としては、毎月の記録収集が59・4%で最も多いが、全社ネットワークでリアルタイムに把握している企業が、8・2%から13・7%(30社)に急増した。
知識習得度の判定手段では、132社(60%)が全社一斉テストを実施している。実施頻度は年2回が37・4%、年1回が32・1%。
コントラクトMR採用企業が増加
<雇用>(回答企業数は項目ごとに異なる)
MRの定年は他業種と同様、60歳としている企業が大半を占め、65歳も9社あった。定年延長はMR数の少ない企業に目立っている。再雇用制度を実施している企業は、06年4月の改正高年齢者雇用安定法施行を前に、117社(53・7%)に急増した。
中途採用している企業は147社(65・9%)で3・9ポイント増加、99人以下企業で増加が著しい。中途採用MRの割合は毎年増加し単純平均で39・4%、99人以下企業では50%を超えている。
コントラクトMRの採用状況は、採用企業が49社(22・7%)、MR数は1368人であり、採用企業は毎年増えている。内訳は派遣型32社、請負型22社、両方が5社。1社当たり採用人数は25・3人で、派遣型17・6人、請負型36・6人だった。