大日本住友製薬の多田正世社長は5日、都内で記者会見し、2009年度第1四半期決算で高血圧治療剤「アムロジン」の売上高が、後発品の影響で、前年同期比5・8%減と落ち込んだことを受け、「10~11年は、全社的な合理化と営業強化で収益性を高めていく」との方針を語った。12年からは、海外進出の足がかりと位置づける統合失調症治療剤「ルラシドン」の貢献を見込み、反転攻勢に打って出る考えを示した。
同社の09年度第1四半期決算で、国内医薬品事業の売上高は6・1%減の459億円となった。特に「アムロジン」は16・9%減の136億円と大幅ダウン。新たに投入したアンジオテンシンII受容体拮抗剤「アバプロ」も、77・8%減の2億円と不調に終わった。
一方、大型化を期待する統合失調症治療剤「ルラシドン」は、第III相試験「PEARL1」が良好な成績で終了したことから、多田氏は「プレNDAミーティングの感触から、米国申請を当初予定から1年前倒しの10年前半に行える」との見通しを示した。
実際にルラシドンの米国での発売で、売上に貢献してくるのは12年以降と見られる。当面は「アムロジンOD錠」に注力するものの、後発品の影響で大幅減収が避けられないことから、多田氏は「11年までは経費節減で乗り切っていく」との考えを示した。
既に同社は、6月26日付で営業本部に地域本部制を導入し、製品軸から地域の視点に営業方針を転換。国内収益基盤の強化に乗り出している。製品導入は行わない方針で、あくまでも12年以降のルラシドンの貢献に期待をつなぐ。
また多田氏は、1000億円とされる余剰資金に言及。「これを(10~11年の)2年間の守りに使っていくか、それ以降の攻めに使っていくか思案中」とした。