民主党は27日午後、衆院選挙の政権公約(マニフェスト)を発表した。医療を重点政策の一つに位置づけ、骨太方針2006が定めた社会保障費抑制路線の撤回を明記し、医療従事者の増員に努める医療機関に対する診療報酬を引き上げる方向性を打ち出した。また、後期高齢者医療費を廃止し、公的医療保険制度を地域保険として一元的に運用することも盛り込んだ。
民主党マニフェストは、国家予算を組み替えて公共事業、公務員人件費、補助金などの支出を削減すると共に、特別会計運用益など、いわゆる埋蔵金の活用、租税特別措置の見直しによって2013年度までに16・8兆円を捻出し、優先度の高い政策に予算を重点配分することが柱。
予算拡充の対象となった医療をめぐっては、従事者の増員や、救急・小児・外科等の医療提供体制の再建など医療崩壊の阻止には9000億円程度を充てることとした。特に医師数については現在の1・5倍程度まで増員する。なお、薬剤師数については言及が無かったが、マニフェストの土台となった政策集には、薬剤師の増員方針も示されていた。
また、医療保険制度の見直しには8500億円を用意する。後期高齢者医療制度については、「年齢で差別する制度は廃止する」とし、同制度の廃止によって後期高齢者が流入する国民健康保険の負担増を、国が支援することを明記。被用者保険制度と国保を段階的に地域保険に統合していく道筋も描いた。
新型インフルエンザ対応や癌・肝炎対策の拡充には3000億円程度を計上した。ワクチン接種体制を整備すると共に、化学療法や放射線治療の専門医を養成するほか、治療が長期にわたる患者を対象とした高額療養費制度の見直しを行うことなどを挙げている。