厚生労働省医薬食品局審査管理課は20日、米国産ウシ由来の原材料を使用して製造された医薬品等の原材料切り替え状況をまとめ、公表した。3月時点で米国産ウシ由来原料を使用している医薬品は19品目、医療機器は3品目あったが、このうち医薬品7品目、医療機器2品目について、他国産のウシ由来原料等に切り替えられることが明らかになった。
審査管理課は、20日付で24品目が新たに承認を取得したことから、米国産ウシ由来原材料の使用状況を取りまとめたもの。それによると、米国以外の原産国、または他の原材料へ切り替えが可能になったもの(3月以降に新製品の供給が始まったもの、あるいは今後供給が可能になったもの)が、医薬品で7品目、医療機器で2品目に上った。
厚労省は、米国産ウシ由来の原材料を使用している医薬品について、できるだけ早期に他国産の原材料へ切り替えるよう指導してきた。切り替えることにした医薬品は、概ね切り替えが済んでいるものの、依然として3月時点では医薬品19品目、医療機器3品目が米国産ウシ由来原材料を使用していた。
しかし、その後の各社対応で、合わせて9品目の切り替えが進んだという。既に切り替え済み、あるいは今後切り替えられる製品は次の通り。
<医薬品>
▽乾燥濃縮人活性化プロテインC(注射用アナクトC2500単位=化学及血清療法研究所)▽乾燥弱毒生おたふくかぜワクチン(乾燥弱毒性おたふくかぜワクチン「化血研」=同)▽肺炎球菌莢膜ポリサッカライド(ニューモバックス=万有製薬)▽オクトコグアルファ(コージネイトFS250IU注射用、同500IU注射用、同1000IU注射用=バイエル)▽ルリオクトコグアルファ(リコネイト250、同500、同1000=バクスター)▽イミグルセラーゼ(セレザイム注200U=ジェンザイム・ジャパン)▽リツキシマブ(リツキサン注10mg/mL<100mg/10mL>、同10mg/mL<500mg/50mL>=全薬工業)
<医療機器>
▽外科・整形外科用手術材料のヘリスタット(白鵬)▽歯科用手術材料のバイオメンド吸収性コラーゲンメンブレン(同)
◇切り替え未実施医薬品は10品目
また、他の原材料等へ切り替えを行うとした製品のうち、現在もなお米国産ウシ由来原材料を使用しているものが、医薬品で10品目、医療機器で1品目ある。内訳は次の通りだが、このうち医療機器1品目については、切り替えは困難だとしている。
<医薬品>
▽インターフェロン・ガンマ”n1(オーガンマ100=大塚製薬)▽インターフェロン・アルファ<BALL”1>(オーアイエフ250万IU、同500万IU、同1000万IU=大塚製薬)▽乾燥ガスえそ抗毒素(乾燥ガスえそ抗毒素“化血研”=化学及血清療法研究所)▽乾燥ボツリヌス抗毒素(乾燥ボツリヌス抗毒素“化血研”=同)▽乾燥濃縮人血液凝固第VIII因子(クロスエイトM250、同500、同1000=日本赤十字社)▽インフリキシマブ(レミケード点滴静注用100=田辺製薬)▽ムロモナブ‐CD3(オルソクローンOKT3注=ヤンセンファーマ)▽A型ボツリヌス毒素(ボトックス注100=グラクソ・スミスクライン)▽サキナビル(フォートベイスカプセル=中外製薬)▽トラスツズマブ(ハーセプチン注射用60、同150=同)
<医療機器>
人口心臓弁のカーペンターエドワーズ牛心嚢膜生体弁(エドワーズライフサイエンス) さらに治療上の効果が、当該原材料を使用することに伴うリスクを上回ると判断され、薬事・食品衛生審議会の評価を経て承認された医薬品は、これまでエタネルセプト(エンブレル皮下注用25mg=ワイス)、ゲムツズマブオゾガマイシン(マイロターグ注射用5mg=同)――の2品目だったが、ラロニダーゼ(アウドラザイム点滴静注液2・9mg=ジェンザイム・ジャパン)が今回承認を取得し、計3品目となった。ラロニダーゼは同剤を産生する細胞の培養工程で、ウシ血清が用いられており、審査管理課は、患者への情報提供に万全を期すよう指導したという。