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癌医療の均てん化や最新の癌情報を広く提供していくことを目的として、東京築地の国立がんセンターに「がん対策情報センター」が1日設置されたが、16日にその開設式典が国立がんセンターで行われた。情報センターは今後、日本の癌情報提供ネットワークの中核的役割を担うことになる。患者団体等からの要望も踏まえ、分かりやすい癌関連情報の発信を目指して、新たな体制づくりへの第一歩を踏み出した。
開設式典で国立がんセンター総長の垣添忠生氏は、「情報センターは、癌医療水準の向上や均てん化を図るために設立された。厚生労働省をはじめ癌診療連携拠点病院、患者団体などと一体となった運営を目指すと共に、情報センターを中核とした情報ネットワークの構築に全力を尽くしたい」と抱負を述べた。
柳澤伯夫厚労相は、「癌は1981年以来、日本人の死因第1位を占め、現在では年間約30万人が死亡しており、国民にとって癌対策は最大の関心事である」と現状を説明した上で、「情報センターは今後、わが国癌対策の中心になる。癌診療連携拠点病院との連携をさらに強化し、国民の期待に応えてもらいたい」と要請した。さらに、癌医療均てん化や政府の癌対策推進本部発足に力を注いだ尾辻秀久元厚労相も出席、「誰のために運営しているのかを、常に心がけてほしい」と注文をつけた。
式典には、患者団体の代表として俵萠子(がん患者団体支援機構理事長)、山崎文昭(日本がん患者団体協議会代表者)の各氏も出席、「癌患者にとって、必要な情報がすぐに手に入る国を目指してほしい」「患者も積極的に関わり、より良い癌対策を推進していきたい」と期待を述べた。
情報センターは、昨年8月に癌対策推進本部が示した「がん対策推進アクションプラン2005」に盛り込まれた「がん情報提供ネットワーク」の中核となる施設。主な機能として、▽癌情報提供▽癌サーベイランス▽多施設共同研究支援▽癌診療支援▽研究企画支援――などを備え、厚労省や癌診療拠点病院の相談支援センターと協同して業務を進める。なお、情報提供のためのウェブサイト「がん情報サービス」(http://ganjoho.ncc.go.jp/)も新たに開設した。