日本保険薬局協会(NPhA)は記者会見し、2005年度に院外処方せんのFAX送信にかかった経費が、アンケートに回答した会員96社の合計で、5億円以上に達していたことを明らかにした。また日本薬剤師会が、会長名の通知でFAX分業の縮小・廃止を求めたにもかかわらず、現場の対応が進んでいないことから、厚生労働省や公正取引委員会等を想定し、「ニュートラルな機関による裁断を求めるべき」との考え方を示した。会見には柏木實専務理事、三木田慎也常務理事、須崎道男事務局長が出席した。
柏木専務は、日本調剤が薬剤師会を退会した後、広島市薬剤師会から院外処方せんのFAX送信料を従来の3倍請求され、問題になっていることを挙げ、「日薬は03年3月6日付で、処方せんのファクシミリ送信に係る見直し・改善を通知している。FAX分業が一定の役目を終えたとの認識に立ち、その縮小・廃止の方向を打ち出している」と指摘。
その上で「自主的な撤退、縮小を待っていたが、これ以上は待てない。結論としては、然るべきニュートラルな機関に裁断を求めるべきと考えている。何に経費がかかっているのか疑問だ」と述べ、FAX分業の廃止に向け、積極的な行動に出る意向を示した。
会員社に対する05年度の調査結果(中間集計)も提示。調査対象5590店舗中2319店舗(回収率41.5%、回答96社)の合計で、FAX送信に要した経費が、年間5億1594万円に上ったことを明らかにした。NPhAでは不適切な事例も含め、引き続き状況把握を進めており、その結果を待って「必要があれば抗議することもあり得る」としている。
柏木専務は「既に(FAX送信の)価格云々という時代ではない。後発品への変更可処方せんが来るようになり、患者と対面した上でなければ、調剤できない状況もある。FAXは止めた方がいい」と述べた。