米FDAは6月26日(現地時間)、武田薬品が販売許可申請中のDPP‐4阻害薬「SYR‐322」に対し、心血管系リスク評価に関する追加試験の実施が必要と通知した。武田薬品によると、現在FDAと試験デザインを協議中で、追加試験の実施が最終決定した場合、数カ月以内に開始する予定。追加試験のデータ提出までは約2年間を見込み、2011年中に再申請を行う見通しだ。
SYR‐322は、同社が2型糖尿病治療薬「アクトス」の後継品として、次期主力大型製品と位置づけてきたが、米国での承認が大幅に遅れていた。FDAは今年3月、SYR‐322について、昨年12月に施行された「新糖尿病治療薬の心血管系リスク評価についてのガイダンス」の統計的要件を、十分に満たしていないと指摘。SYR‐322の販売許可承認は新たな展開を迎え、追加試験の実施が焦点になっていたが、FDAは審査終了日としていた6月26日に、正式に追加試験の実施が必要と通知した。
既に同社は4月下旬から、SYR‐322の追加試験デザインに関して、FDAと協議を進めてきたが、今回の通知を受け、「追加試験を実施するかどうか協議中」(コーポレートコミュニケーション部)としている。最終決定され次第、数カ月以内にも追加試験を開始する見通しだ。
その場合、FDAへの追加試験データの提出まで、約2年程度かかると見られており、11年中にも再申請を行う。これにより、SYR‐322の米国での販売許可承認は、早くても11年度中~12年以降に延期されることになった。
アクトスの米国特許切れを11年に控える中、後継品と位置づけるSYR‐322の発売延期は、同社の戦略に大きな影響を与えると見られるが、「強化を進める癌領域製品の上市、未進出地域の販売拡大など、様々な展開によってカバーしていきたい」としている。