日本薬剤師会は7日、2005年度DEM事業報告書を公表した。HMG”CoA還元酵素阻害剤に関する事例をインターネットで収集したところ、昨年度を大きく上回る18万件の報告数を得た。また、今回から後発品も含めた調査を実施したが、先発品と後発品でイベント発現率に有意差は見られなかった。
05年度の調査対象医薬品は、後発品も含むすべてのHMG”CoA還元酵素阻害剤。具体的には、▽アトルバスタチンカルシウム(リピトール錠5mg、10mgの2品目)▽シンバスタチン(リポバス錠5、10、20など27品目)▽ピタバスタチンカルシウム(リバロ錠1mg、2mgの2品目)▽プラバスタチンナトリウム(メバロチン錠5、10など57品目)▽フルバスタチンナトリウム(ローコール錠10mg、20mg、30mgの3品目)▽ロスバスタチンカルシウム(クレストール錠2・5mg、5mgの2品目)””で、錠剤のほか細粒剤や内服液剤も含む93品目が対象となった。
報告数は18万1603件(有効報告数99・5%)と、昨年度の7万6000件を大きく上回った。1件でも報告した薬局数は1万0330軒で、全保険薬局の20・8%を占めた。1薬局当たり約17・6件を報告した計算になる。有効報告数が100%近い数字になったのは、今年度からインターネット報告を主体とし、回答を誤って入力した場合は、自動的にはじかれるシステムを採用したためだという。
成分別の報告割合は、プラバスタチンが最も多く38・2%を占めた。次いでアトルバスタチン33・3%、シンバスタチン13・6%、ピタバスタチン7・5%、フルバスタチン7・2%、ロスバスタチン0・2%であった。
イベント発現頻度を成分別に集計したところ、「イベントあり」の割合がアトルバスタチン2・9%、シンバスタチンで2・5%、ピタバスタチンで3・6%、プラバスタチン2・6%、フルバスタチン2・4%、ロスバスタチン8・2%であった。
結果を報告した七海朗常務理事は、「今年度から後発品も含めて調査を実施しているが、先発品と後発品を比較しても、イベントの発現頻度に有意差はなかった」と述べた。なお、ロスバスタチンのイベント発現率が約8%と比較的高かったのは、母数の少なさも影響したと見られている。
イベントとして報告された症状(複数回答)は「筋痛」が最も多く、全成分とも約25%程度を占め、「脱力」「そう痒」も10%前後に上った。また「イベントあり」のケースでは、全ての薬剤で9割程度が内服薬(大衆薬を含む)を併用していた。
イベントが生じた場合の薬局の対応(複数回答)としては、多い順に[1]患者は既に処方医に相談していたことが判明(2161件)[2]患者に対し、少し様子を見て、症状がひどくなるようなら受診するよう助言(1653件)[3]患者に処方医へ相談するよう助言(1037件)――が大半を占めている。数は多くないが、薬剤師が処方医へ連絡(106件)したり、厚生労働省の「医薬品安全性情報報告制度」に報告(1件)したケースもあった。