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第39回日本薬剤師会学術大会が8、9日の2日間、「生かされて生きる喜びの生活(くらし)と薬剤師―故(ふる)きを温(たず)ねて新しい薬剤師像を探る」をメインテーマに掲げ、福井市のフェニックス・プラザを主会場に開催された。医療制度、薬事制度の改正、薬学教育6年制スタートなど、薬剤師を取り巻く環境が激変する中、全国から5000余人の薬剤師が参加し、新しい薬剤師像を追い求めて研究発表や講演、討論が繰り広げられた。
北陸地区での開催は、1992年の富山大会以来16年ぶり。大会の前日と初日は、雨天と晴天が交錯する北陸特有の悪天候となり、当日登録者などの出足も心配されたが、最終的には運営委員会の予想を大きく上回る約5000人の薬剤師が全国から参集した。
今年は医療法、薬事法等の改正、薬学教育6年制のスタートという歴史的な転換点に当たっており、質の高い業務を目指して、薬剤師の変革が強く求められている。こうした状況下で開かれた今大会は、分科会11テーマで6シンポジウム、5題の講演、さらに一般演題も口頭発表182題、ポスター発表385題に上るなど、量的にも充実した内容となった。
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開会式の冒頭、中西敏夫日薬会長は「06年は薬剤師の歴史が始まって以来の大きな変革の前触れと実感する年」との認識を示し、「長い間、待ち望んでいた6年制薬剤師教育、医薬品提供体制における薬剤師の役割と責任の一層の明確化、地域住民に対する処方せん調剤を通じた医療の担い手としての確固たる位置づけなどが、確実に手の届くところに来た」と強調した。
来年の参議院選挙に向けては、「こうした先人の労苦とわれわれの努力をいかに実現できるか、その試金石といえる行事にも、心を一つにして立ち向かわなければならない」と、全薬剤師のさらなる結束を促した。
最後に「薬剤師が変革するこの年、目指してきた薬剤師像の実現に向けて、大会での成果を明日からの業務に反映し、社会から大きな信頼を得ることを祈念したい」と結んだ。
続いて運営委員長の内藤秀穂福井県薬剤師会会長が、5000余人もの参加者があったことに謝辞を述べ、「39回目の学術大会で、私の思いが叶った。全国の薬剤師の総本山として、日薬がその役割を果たし、薬剤師という職業を持つ人たちが一枚岩となって頑張っていただきたい」と語った。
さらに、柳澤伯夫厚生労働大臣の祝辞を黒川達夫厚生労働省大臣官房審議官が代読した。薬剤師に関連する分野では、医療法改正による薬局の医療提供施設としての位置づけ、薬事法改正による医薬品販売制度の全般的な見直しと、違法ドラッグの製造・輸入・販売の禁止という、二つの大きな制度改革を行ったことを説明。さらに、薬学教育6年制の実施により、今後輩出される薬剤師が医療の質向上などの社会的要請に対し、今まで以上に応えていくことを期待していると伝えた。