東京都薬剤師会が行った後発品使用促進に関する調査で、後発品変更率はわずか2・6%でしかないことが明らかになった。薬剤師による説明も、50%以上の処方せんに対して説明している薬局が14%ある一方で、一切説明しない薬局が36%を占めた。都薬ではさらなる使用推進のためには、一切説明していない薬局に対する調査が必要としている。
調査は、後発品使用促進の基礎資料とするために実施したもの。都内全域の1000薬局を対象に、昨年10月28日の1日に受けた全処方せんについて調査した。調査票回収数は941薬局(回収率94・1%)。調査対象となった処方せん枚数は6万9718枚で、同月の都内全域での1日平均処方せんの20%に相当する。
調査対象となった処方せんを分類すると、[1]後発品が全くない先発品のみの処方せんが17・8%[2]先発品のみの記載だが、後発品が存在する処方せんが47%[3]後発品が1品目以上記載された処方せんが35・2%--だった。
また、「変更不可」の署名があった処方せんは26・7%で、72・3%の処方せんは変更可能だった。日本薬剤師会が08年9~10月に実施した同様の調査では、「変更不可」の署名は35%で、医師サイドの後発品使用促進は10ポイントほど広がっている。
それらを総合して、調査から算出した「実質変更可能な処方せんの割合」は、55・1%だった。地域によってその割合にはバラツキがあり、台東区や府中市、東久留米市では約70%を超えているのに対し、狛江市では20%未満と低かった。
一方、薬剤師による後発品に関する説明は、平均して15・6%の処方せんに対して行われていた。ただ、「一切説明しない」薬局が最も多く35・9%を占めた。次いで多かったのが、受け付けた処方せんの「0~10%未満」の17・8%で、説明が十分に行われていない実態が明らかになっている。それに対し、50%以上の処方せんについて説明している薬局も13・9%あった。
先発品のみ記載されているが、後発品が存在する処方せんについては、523薬局が3603人の患者に説明をしていた。その結果、39・2%の処方せんで、1品目以上後発品に変更されていた。薬剤師が「説明に長い時間をかける」または「変更しそうな人に働きかけた」場合は、後発品への変更率が高い傾向が見られている。
総処方せん枚数に対する後発品の変更率はわずか2・6%で、実質的に変更可能な処方せんだけに限っても、変更率は5%程度の計算になる。
結果を受け都薬では、後発品使用促進施策について「後発品について全く説明していない35・9%の薬局が、どのような理由で説明できなかったのかを知るために、再度の調査が必要」としている。