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日本医療薬学会の第16回年会(年会長宮本謙一氏)が9月30、10月1の2日間、「医療薬学の扉は開かれた―薬学教育6年制元年」をメインテーマに金沢市内で開かれ、約4700人が参加した。会場には病院薬剤師に加え、薬局薬剤師、大学関係者の姿も多く見られ、医療薬学への関心の高まりを改めて示す年会となった。薬学教育や薬薬連携、病院薬剤師の業務発展などについて、幅広い討議が繰り広げられたが、中でも薬学教育における実務家教員の役割の大切さが強調され、宮本年会長は薬学部に臨床講座を設置するよう強く求めた。
講演した宮本年会長は「医療現場は門戸を開き、胸襟を開いて、薬学教育の受け入れを大いにアピールする年ではないか」と指摘。「薬学の先生方はこの門を通り、さらに押し広げて、学生を医療現場に連れてきていただきたい。そうすれば、われわれ薬剤師も大いに協力するし、力を尽くしたい」と述べ、医療現場と大学が連携し、薬学教育6年制を推進していく必要性を強調した。
臨床経験を持ち大学教員として採用された「実務家教員」がその鍵を握るが、現状では「薬学の中に閉じこもってしまう、または閉じ込められてしまうという状況ではないか。これでは実務家教員の名前が泣く」と問題を提起。医学部と同様、薬学部にも「病院や薬局などの医療現場に足場を置いた臨床講座を構築、充実すべきではないか」と呼びかけた。
シンポジウムでは、実務家教員を病院に常駐させることにより、その知識や技能の低下を防ぎ、質の高い実務実習の実現が期待できると報告された。その実例として、名古屋大学病院と名城大学薬学部の取り組みが示された。