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アストラゼネカの非小細胞肺癌治療薬「イレッサ」(一般名ゲフィチニブ)の副作用で問題となった急性肺障害・間質性肺炎(ILD)の発現リスクを、同剤と他の抗癌剤で比較した前向き大規模調査結果が27日に発表され、ILD発症リスクはイレッサの方が3.2倍高いことが判明した。特に投与から4週目までの発現頻度が特に高く、イレッサは他の抗癌剤に比べ、血液毒性や肝障害といった副作用が少ない一方、ILDの発現率が際立って高いという特徴が示された。
調査は、2003年11月から全国51医療機関で登録された国内4423人の患者が対象。投与12週目までにILDの発症した患者をイレッサ群と他の抗癌剤群とで比較。イレッサと他の抗癌剤とのILD発症リスクを比較した前向き大規模調査は日本で初めて。
その結果、ILD発症率はイレッサ4・0%、他の抗癌剤2・1%だった。イレッサは扁平上皮癌にはあまり効果がなく、喫煙歴がある患者でリスクが高まり投与対象から外されることも多いことから、両群での患者背景の偏りを補正してILD発症リスクを計算したところ、イレッサが他の抗癌剤よりも3・2倍高かった。
調査に参加した日本医科大学内科学の工藤翔二教授は、都内で行われた結果発表会に同席し、「副作用や有効性の特徴を考慮して、治療法を選択する必要がある」とコメント。今後は、副作用の起こしやすい患者や有効性が高い患者を投与前に知る手段が一般に普及すれば、より効果的な治療につながるとしている。