薬事・食品衛生審議会は22日に薬事分科会を開催し、審議品目だった多発性骨髄腫治療薬「ベルケイド注射用」を審議し、承認して差し支えないとの結論を得た。同剤は、プロテアソーム阻害という従来にない薬理作用を持つ薬剤のため、分科会でも審議が求められていた。また、部会で了承された18成分についても報告された。順調にいけば、医療用医薬品については1カ月程度で承認される見通しだ。
ベルケイド注射用3mg(ヤンセン・ファーマが製造販売)の有効成分はボルテゾミブで、抗癌剤としては新規の作用機序となるプロテアソーム阻害剤。昨年4月の未承認薬使用問題検討会議において、企業に対し早急な承認申請が要請されていたもので、優先審査が行われた。
現在、個人輸入により使用されており、間質性肺炎などの肺障害が多く見られることから、添付文書の警告欄に、▽緊急時に十分対応できる医療施設において、十分な知識と経験を持つ医師の下で投与する▽治療初期は入院環境で、医師の管理下で適切な処置を行う▽国内臨床試験で同剤との因果関係が否定できない肺障害(間質性肺炎)による死亡例が認められたことから、治療開始時に胸部X線検査や胸部CT検査等を実施する――などを記載し、医療関係者に注意を促すことにした。企業側も適正使用ガイドを医療機関へ配布するなどして、注意喚起を図る。なお承認条件として、市販後の全例調査も義務づけられている。 このほか、報告された品目は次の通り。
◇塩酸ロピニロール、レキップ錠0・25mg、同1mg、同2mg(グラクソ・スミスクライン):有効成分=塩酸ロピニロール、効能効果=パーキンソン病
◇アルチバ静注用2mg、同5mg(ヤンセンファーマ):レミフェンタニル塩酸塩、全身麻酔の導入・維持における鎮痛
◇ソナゾイド注射用(第一製薬):ペルフルブタン、超音波検査における肝腫瘤性病変の造影
◇リプレガル点滴静注用3・5mg(大日本住友製薬):アガルシダーゼアルファ(遺伝子組み換え)、ファブリー病
◇プレミネント錠(万有製薬):ロサルタンカリウムとヒドロクロロチアジドの配合剤、高血圧症
◇注射用オノアクト50(小野薬品):塩酸ランジオロール、手術後の循環動態監視下における頻脈性不整脈(心房細動、心房粗動、洞性頻脈)に対する緊急処置
◇ル・エストロジェル0・06%(資生堂):エストラジオール、更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状(ホットフラッシュおよび発汗)
◇アレグラ錠60mg、同30mg(サノフィ・アベンティス):塩酸フェキソフェナジン、抗アレルギー薬
◇タケプロン静注用30mg(武田薬品):ランソプラゾール、経口投与不可能な出血を伴う胃潰瘍、十二指腸潰瘍、急性ストレス潰瘍及び急性胃粘膜病変
◇オキノーム散0・5%(塩野義製薬):オキシコドン塩酸塩水和物、中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛
◇アウドラザイム点滴静注液2・9mg(ジェンザイム・ジャパン):ラロニダーゼ(遺伝子組み換え)、ムコ多糖症I型
◇注射用アナクトC2500単位(化学及血清療法研究所):乾燥濃縮ヒト活性化プロテインC、先天性プロテインC欠乏症に起因する電撃性紫斑病
◇ニューモバックスNP(万有製薬):肺炎球菌ワクチン、製法変更
◇イトリゾール注1%(ヤンセンファーマ):イトラコナゾール、アスペルギルス属、カンジダ属等の各種真菌感染症
◇アドベイト注射用250、同500、同1000(バクスター):ルリオクトコグアルファ(遺伝子組み換え)、血液凝固第VIII因子製剤
◇ブスルフェクス点滴静注用60mg(麒麟麦酒):ブスルファン、同種造血肝細胞の前治療、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、神経芽細胞腫における自家造血幹細胞移植の前治療
◇アフタッチA、アフタカバー、アフタロン、アフタコートT(帝人ファーマ):トリアムシノロンアセトニド、口内炎(医療用薬のOTCスイッチ)