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第16回IFPW(国際医薬品卸連盟)サンフランシスコ総会が現地時間の25日午前、米国カリフォルニア州サンフランシスコ市で開幕した。27日までの3日間にわたり、「医療と先端技術の橋渡し」をテーマに掲げ、サプライチェーンの完全性、中国等の新生マーケット、明日の物流経路、薬局・患者の傾向、価値の構築などをめぐり、活発なディスカッションが繰り広げられる。会合では、特に医薬品卸業界で問題視されている不正医薬品に対し、「一つも認めない」という断固たる態度で臨み、サプライチェーン全体が一致協力して、対策を講じていくことが訴えられた。
総会の冒頭、IFPW社長のウイリアム・ゴーツ氏、IFPW会長のポール・ジュリアン氏(マッケソン副社長兼グループ社長)、HDMA社長のジョン・グレイ氏が歓迎のあいさつを述べた。ゴーツ氏は、米国に各国から参集した関係者、スピーカー、スポンサーに対し謝意を表した。
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ジュリアン会長は、医薬品業界には課題が多いと指摘。サプライチェーンは医薬品卸ビジネスの基礎であること、バイオ医薬品の急伸、不正医薬品の根絶、オンラインで繋がっている患者・薬局が大きな転換期にあること、また2桁の成長率で拡大する中国などの新たな市場も、欠くことのできないテーマだとした。これらの課題は、いずれも今回の総会で取り上げられ、国際的な観点から討議が進められている。
グレイ氏も、医薬品業界では不正医薬品が大きな問題だと主張、「一つも認めない」という姿勢で、生産、流通、行政・立法まで、サプライチェーン全てが対策を講じる必要性を説いた。
また、世界の医薬品卸業界で、高いリーダーシップを発揮したウイリアム・L・フォード氏を記念して設けられた「W・L・フォード国際」賞の授賞式も行われ、今回はアライアンスブート社のステファノ・パシーノ氏が受賞した。
◇ミッチェル氏‐業界の一体性を強調
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総会初日には、ジョンソン・エンド・ジョンソン・サイオス社長のジェームス・ミッチェル氏が、基調演説「サプライチェーンの完全性」を行った。
同氏はまず、「患者が必要とする安全性の高い医薬品を提供することが、なぜできないのか」と問題を提起、業界が一丸となって取り組むことが重要だと訴えると共に、その大前提は患者のニーズだと強調した。
その上で、患者の安全性を考えた場合には、自らが状況を変えるエージェントになることが不可避だとして、業界が協調して取り組むことが大切であり、「最高の品質が今こそ求められている時はない」と主張した。
また、業界に対する様々な圧力に対抗するために、アクセス、イノベーション、コストのバランスが大切になってきている。全世界で10%も流通しているニセ薬をはじめとした不正医薬品の問題については、「ニセ薬をなくし、サプライチェーンが信頼のチェーンを構築しなければ、患者からも信頼が得られない。そのためには技術、プロセス、立法が重要だ」と、“信頼の鎖”の重要性を述べ、鎖の1カ所でも失われると、全体の価値が損なわれるため、力を合わせて対応することが必要だと強調した。