ツムラは10月1日、国内80の全大学病院に専任のMRを一人ずつ配置する新しい営業体制をスタートさせ、大学病院に対する営業強化を図る。専門医に、術後イレウスや過敏性腸症候群に伴う腹部膨満感への効果が示されている「大建中湯」など3品目を重点的に情報提供を行い、漢方製剤の売り上げ拡大を狙う。
同社は、漢方製剤の承認されている適応の範囲内で、新薬の治療薬が少ない疾患を対象に臨床研究による有効性データの確立に取り組んでいる。そのデータの蓄積ができてきたことから、影響の大きい大学病院の専門医に対する情報提供を強化し、そこからの処方の広がりを期待する。
データの蓄積が進んでいるのは、[1]「大建中湯」の術後イレウスや過敏性腸症候群に伴う腹部膨満感、[2]「六君子湯」のFD(機能性胃腸症)、GERD(胃食道逆流症)などに伴う上腹部不定愁訴[3]「抑肝散」の不眠など認知症の周辺症状””に対する効果。欧米の主要学会で高い評価を得ているという。同社は、この3品目を重点的に情報提供していく。併せて、臨床データの収集も行う。
今回の営業強化によって、大建中湯は売り上げを08年度に100億円、六君子湯は07年度に40億円強と、05年度に比べほぼ倍増を目指す。抑肝散については未定だが、広く浸透を図る。 そのほか同社では、臨床研修指定病院への専門MRの配置も検討している。大学病院以上に施設数が多いことからMR増員が必要となる。同社は今後10年でMRを現在720人から900人まで増員する構想を持っているおり、その中で検討になるとみられる。