富士写真フイルムと武田薬品は、疾患関連蛋白質や薬物候補化合物に蛍光材料や放射線同位体などで標識することなく、薬物候補化合物を高速でスクリーニングできる技術を共同で開発した。1日当たり4000もの化合物の測定が可能になるという。2007年春をメドに製品化を目指す。
新技術は、富士の光学技術・材料技術と、武田の創薬スクリーニング技術といったノウハウを融合させたもの。
富士が開発したディスポーザブルタイプの測定系一体型センサーチップに金をコーティングし、その表面に疾患関連蛋白質を固定して候補化合物を流すことで蛋白質との反応を観察する。金膜表面にレーザー光を当て、レーザー光の屈折率をみることで、蛋白質と結合した化合物候補を探索することができるという。
これは、表面プラズモン共鳴(SPR)法と呼ばれる技術で、金膜表面に生じるプラズモンの光吸収パターンを調べ、金膜に接する物質の屈折率を検出する方法。1日当たり4000化合物の測定は世界最速だとしている。
さらに、スクリーニングの際に使用される蛋白質や化合物ライブラリーの使用を減らせる技術も併せて開発し、少量の化合物サンプルからの測定を実現した。
現行では、蛍光法など標識法スクリーニングでの測定が中心だが、蛍光材料などの標識との結合力が弱い化合物の測定は難しかった。一方、SPR法では、検査ごとの装置の洗浄や測定光学系の調整が必要で、手間と時間がかかり創薬スクリーニングの手法としては使われていなかった。その点を両社は克服した。
なお、富士は「メディカル・ライフサイエンス事業」を重点事業として成長戦略に位置づけており、今回の取り組みもその一つ。