4月からの処方せん様式変更に対する薬局の対応状況を把握するため、宮城県薬剤師会は後発医薬品に関するピンポイント調査を行い、このほど結果をまとめた。調査は、制度導入から3カ月目の6月5日調剤分を対象に行ったもの。「後発医薬品への変更可」処方せんを受け付けた薬局が4割近くあり、変更調剤を実施した薬局が13%であった。しかし処方せん枚数でみると、変更可の処方せんが約13%あったのに対し、実際に変更されたケースは1%にも満たなかった。
調査は、県薬会員909薬局を対象にアンケート方式で実施され、435薬局から回答を得た。
後発医薬品に関する患者からの質問内容(複数回答)としては、「価格に関する事項」で347件で最も多かった。次いで「後発医薬品とは何か」305件、「薬効に関する事項」152件、「副作用に関する事項」80件と続いている。さらに、変更可欄に署名や記名押印がないにもかかわらず、後発薬への変更を希望したことがあると答えた患者が、53%と半数を超えていた。
6月5日の調剤状況をみると、処方せんを受け付けた薬局は401軒で、このうち変更可の処方せんを受け付けた薬局は157軒(39・2%)、実際に変更調剤を実施したのは52軒(12・7%)であった。
総処方せん枚数は2万7075枚、うち変更可は3469枚(12・8%)に上った。しかし、薬局で実際に変更調剤が行われたのは233枚と0・9%にとどまった。変更を希望した患者の動機としては、薬代が安くなるからが圧倒的に多く137件、そのほかでは医師に勧められたからが29件、薬剤師に勧められては4件だった。
集計では、全処方せん枚数に対する変更可処方せん枚数のパーセンテージを「サイン率」とし、各薬局のサイン率分布を分析している。それをみると、ゼロが圧倒的に多く、次に多いのも10%未満だが、80%以上とか、中には100%と回答する薬局群もあり、変更可処方せんが特定の薬局に集中している状況が明らかになった。変更可処方せんを発行する医療機関がまだ限られており、その近隣の薬局で応需する比率が高いためのと見られる。
変更可処方せんで後発薬に変更しなかったことがあると回答した薬局は93・8%に上った。その理由(重複回答)をみると、[1]患者が希望しなかった255軒[2]価格差がなかった170軒[3]在庫がなかった132軒[4]後発品が未発売であった122軒――となっている。また、後発薬を勧める際に重視する事項としては、品質情報が108軒で最も多かった。
長期的にみると後発薬の使用拡大は、薬剤師にとって好ましいと考えている薬局が24・8%、好ましくないが40・0%、どちらとも言えないが14・3%であった。
好ましくないと回答した理由(複数回答)を聞いたところ、在庫の拡大が95軒で最も多くかった。さらに業務の煩雑化を挙げた薬局もあったが、これに関しては確かに患者対応時間が長くなるという問題が生じるものの、一方で「患者の選択を支援できる」「患者とのコミュニケーションが増す」など、好ましい面があることも指摘された。