日本病院薬剤師会は13015日、東京港区のはあといん乃木坂で「第27回実務研修会」を開催した。研修会では文部科学省高等教育局医学教育課薬学教育専門官の高見功氏が「期待される新たな薬学教育」をテーマに講演。長期実務実習について「まだ大学には、モデル・コアカリキュラムに従ってやれば何とかなるという甘い考えがある。20単位をどのようにカリキュラムへ組み込んで評価するか、より具体化することが重要だ」と、大学の姿勢に厳しい注文を付けた。また8月末には、薬学教育指導者のためのワークショップが初めて開催され、66大学から参加者が集い、教育内容の改善について議論したことも報告された。
高見氏は6年制への移行に伴い、薬学部の必須単位が124単位から186単位に増加し、うち20単位が5カ月の長期実務実習に当たると解説。「20もの単位を充てられている長期実務実習を成功させるには、実習内容の具体化が非常に重要。しかし大学の中には、モデル・コアカリキュラムがあるから大丈夫だろうと甘く考えているところもある。コアカリがあるといっても、1446もの項目をどう入れ込んで評価するのか、具体的計画がなくては話しにならない」と、大学関係者に早急な対応を求めた。
さらに実務実習を成功させるには、▽連携▽巡回計画▽評価方法――が欠かせないとした上で、何よりも「現場において薬剤師の協力なくしては、長期実務実習は進まない」と述べ、薬剤師に協力を強く要請した。
また、実務実習が上手く運んでいる事例の一つとして、熊本大学のケースを紹介。熊大では医学部の学生と薬学部の学生が、1カ月の実務実習を一緒に実施しているという。「チーム医療を学生のうちから経験することができる。やっとこんな大学が出てきた」と話し、こうした取り組みがさらに広がっていくことが望まれると語った。