
芳井社長
ツムラは、2009~11年度の3カ年中期経営計画を発表した。新中計は「漢方・生薬事業に特化した新たなステージの展開」と位置づけ、最終年度となる11年度の売上高1043億円、営業利益254億円の達成を打ち出した。15日の決算説明会で芳井順一社長は、育薬3処方で売上高200億円超を目指す方針を明らかにし、「新たに癌領域の育薬に取り組み、抗癌剤の副作用に有効な漢方製剤をターゲットにエビデンスを確立していきたい」と語った。
新中計では、漢方医学の確立、育薬の推進、漢方の国際化など、六つの活動目標を掲げ、医療用漢方製剤の数量伸長率10%を前提に、売上高1043億円、営業利益254億円、経常利益257億円、当期純利益150億円を計画した。
特に育薬の推進については、抑肝散、六君子湯、大建中湯の育薬3処方で、売上高200億円超を目指すと共に、育薬の新たな領域として、癌領域に取り組む方針を打ち出した。具体的には、抗癌剤が引き起こす副作用に有効な漢方製剤をターゲットとし、オキサリプラチンに牛車腎気丸、イリノテカンに半夏瀉心湯を投与することで、抗癌剤の副作用軽減効果を検討していく。芳井氏は「市場性はそれほど大きくはないが、患者さんに優しい治療を実現するために、エビデンスを確立していきたい」と語った。
漢方の国際化については、6月にも米国ミネソタ州のメイヨークリニックで、大建中湯の臨床薬理試験を開始する予定だ。既に日本国内と米国の医師による情報交換が始まっており、日米で基礎・臨床研究データを蓄積することによって、さらに大建中湯の国際化を目指す考え。
さらに、生産能力の増強に向け、3年間で260億円の設備投資を計画。漢方製剤の需要増に対応するため、静岡、茨城、上海の3工場への投資計画を100億円から110億円に増額した。