栄研化学と大塚製薬は、臨床検査薬事業で資本参加を含めた業務提携を行うことで合意し、7日の取締役会で基本契約を締結した。臨床検査薬業界は、政府の医療費抑制策の中で検査料の引き下げもあり厳しい環境にあるとして、研究開発、営業面で相互補完できる両社が組み、事業基盤を固め、競争力強化を図ることになった。今後、相乗効果を生み出す開発品、製品を検討し、個別に共同販売、共同開発などの契約を結んでいく。
今後の市場環境の厳しさを考え、大塚製薬が栄研化学に提携の検討を申し入れたもの。大塚製薬は、医薬品メーカーとして知られているが、胃潰瘍に関与するヘリコバクター・ピロリ菌感染診断やインフルエンザ診断など製品を持ち、病院市場に強い。一方、栄研は、大腸癌、腎臓病、糖尿病などのスクリーニング用製品を始め幅広い製品を持ち、検査センターなど健診市場に強く、製品、市場とも相互に補完できる関係にある。また、LAMP法という独自の遺伝子増幅技術を開発するなど研究開発力の高さを大塚は評価した。
資本面では、大塚が、栄研の筆頭株主である日本マスタートラスト信託銀行の田辺製薬退職給付信託口(持ち株比率23・35%)から150万株、発行済み株式6・3%を取得する。
大塚は当面は「さらに取得することはない」としている。栄研は、実質的には田辺製薬に議決権があるが、田辺との業務関係がほとんどない今、田辺が持っている意味が薄れてきていることから、より安定的な株主を得る必要があったと説明している。
今回の提携による業績への影響は、今後の個別の契約に絡むため「未定」だとしている。