ロート製薬は12日、代表取締役社長兼COOに吉野俊昭氏(現・常務取締役マーケティング本部長)が昇格し、山田邦雄社長は代表取締役会長兼CEOに就任する役員人事を内定した。6月25日に開催予定の定時株主総会と取締役会で正式に決定する。同社として代表者の2人体制は7年振り。
大阪市内で会見した山田社長は、社長交替について「私が社長に就任して約10年が経過する。これまで順調に業績も推移し、今期も本業は非常に手堅く良い数字を残すことができた。ここから先は、経済不況の影響や、日本では薬事法改正がマーケットの変革を促すだろう。これまでの延長線上ではない明日が待っているということで、変化の時代に備えて、経営力の強化を図りたいと考えた」と説明。先代会長の山田安邦氏以来、空席だった会長職への就任について「 私自身もまだ53歳。引退するわけではなく、より難局に当たるために経営陣を強化したいというのが主眼」と話した。今後、グループ企業の全般的な戦略と運営、中長期的な課題や新市場、新事業に取り組むほか、売上構成比の3割を占めるグローバル展開を睨んで、活動を本格化させる考えを示した。
また、吉野氏については「マーケティング本部長として営業・マーケティングには非常に明るい人」と紹介。「ロートを支える人材育成のほか、国内の本体ビジネスをしっかり管掌してもらいたい」と期待を寄せた。
一方、吉野氏は「山田社長は強いリーダーシップで牽引されてきたが、私は少しカラーが変わるかもしれない。当社はこれまで規模の拡大を続けてきた中で、他社よりも半歩、一歩進んだ店頭リテールサポートに取り組んできた。流通環境の変化が激しい中にあって、中身の充実を手がけ、営業活動スタイルそのものを見直していきたい」と抱負を語った。
吉野俊昭氏は1950年10月10日生まれの58歳。静岡県出身。74年3月に甲南大学法学部卒業し、ロート製薬に入社。03年5月執行役員ヘルスケア第一営業部長、04年6月取締役就任。同年7月取締役ヘルスケア事業本部長、05年5月同マーケティング本部長、08年5月同東京支社長、同年6月常務取締役就任。現在に至る。趣味は音楽鑑賞。