経済産業省が公表した2007年度予算概算要求によると、一般会計の要求額は9625億円、06年度予算に比べ1797億円、22・9%の増額要求となっている。経済成長戦略大綱の実現に必要な予算のうち、特に新規性の高い施策や成長力の押し上げ効果の高い施策を重点化する経済成長戦略推進要望として、先進医療技術の推進など、合わせて363億円を要求している。
経産省は、人口減少等の制約下でも新たな成長を実現するため、「新経済成長戦略」「グローバル経済戦略」「新・国家エネルギー戦略」という三つの戦略を策定した。これらを踏まえ、15年度までの10年間に政府が一丸となって取り組むべき施策をまとめた「経済成長戦略大綱」が策定された。同省は大綱の実現に向けて、07年度に関しては、[1]新たな市場を開拓するイノベーションの創出[2]IT及びサービス産業の生産性向上[3]地域・中小企業の活性化――などを重点施策とし、実行に移していく考えだ。
具体的には、経済成長戦略大綱の実現を目指す関連予算として2118億円を要求、そのうち経済成長戦略推進要望として363億円を計上した。
経済成長戦略推進要望の一つとして、新たに「がん対策等先進医療技術」28億円が盛り込まれた。先端バイオ技術を生かし、画期的な創薬、切除最小限の手術を可能にする医療機器の開発等へ結び付けることを目指すもの。多様な技術を融合して医療現場へ円滑に届ける「橋渡し研究」を促進すると共に、癌患者の5年生存率20%向上など、健康で長生きする社会の実現を目指す。
科学技術振興費は1704億円。科学技術創造立国の実現に向け、「イノベーション・スーパーハイウェイ構想」を推進し、異分野の知識や技術の融合、産官学協働による革新的な研究開発等を通じて、世界最高のイノベーションセンターとして、新しい価値を世界に発信していくための環境整備を図る。▽革新的研究開発の効率的な推進▽研究・技術人材の育成・流動化の促進▽競争的研究資金制度の拡充――などを重点施策として取り組んでいく。