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医薬分子設計研究所が創製したIκBキナーゼβ(IKK‐β)阻害剤「IMD”1041」が、英国でのPIを終了し、今秋にもCOPD(慢性閉塞性肺疾患)をターゲットに、英国で前期PIIを開始できる見通しとなった。医薬分子設計研究所ではPOC(ヒトでの安全性、有効性の確認)を行った後、導出する方針だ。
IKK‐βは、細胞質で転写因子NFκBと結合しているIκBをリン酸化する酵素で、NFκBの活性化に関わっている。NFκBの活性化が細胞の増殖やアポトーシスの抑制、血管新生、さらには炎症などと関係することから、IKK‐β阻害剤研究が進められてきた。ただ、これまでのところPIを終了した化合物は報告されておらず、「IMD‐1041」が臨床段階にある唯一のものとされている。
「IMD‐1041」は、医薬分子設計研究所が独自のコンピュータを利用した論理的分子設計手法をもとに、標的蛋白モデリングからスタートして創製した初めての新薬候補。
同社がまずCOPDをターゲットにしたは、潜在患者数が膨大であるという市場性と、QOLも悪い疾患であることが大きな理由。これまでの動物実験では、呼吸器の炎症だけでなく、気道と肺の線維化も抑制する結果が得られており、COPDの進行抑制につながることを期待している。
PIは、健常人にカプセル剤を投与し、安全性と薬物動態を確認する目的で実施。成人男性に対し単回投与(32人)、反復投与(24人)、食事の影響(8人)、高齢者(16人)の試験を行った結果、「高い安全性と良好な薬物動態プロファイルが確認することができた」という。同剤に起因する有害事象もみられなかったとしている。
前期PIIの結果が良好で、導出がうまくいけば、導出先による日米欧での世界的な開発も視野に入れている。
24日に会見した板井昭子社長は、PI結果について「IKK”β阻害剤が安全であることと共に、将来に向け難病治療の可能性を示した」と説明している。なお、同剤はII型糖尿病の治療薬としても開発を進めている。