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安全な血液製剤の安定供給を目指し、日本赤十字社が東京江東区に建設を進めていた「辰巳ビル」がこのほど完成、22日には同ビルで落成記念式典が開催された。辰巳ビルには日赤血液事業本部の一部が移管されるほか、現在太田分室で行っているNAT(核酸増幅検査)が移転するなど、日赤の血液事業にとって文字通り中核施設としての役割を果たす。また、災害時の貢献も期待されている。
辰巳ビルは、日赤本社の血液事業を集約する中核的な施設を目指して、2005年から本格的に工事が進められてきた。敷地面積は1万1706m2。建物は鉄筋コンクリート造り地上6階建てで、建築面積が3802m2、延べ床面積は1万7876m2。
日赤では血液事業本部安全管理部門などの業務を、「辰巳分室」として同ビルに移管するほか、現在太田分室で行っているNAT検査業務も、将来移管させる計画だ。ビル内には東京都赤十字血液センターや血液供給事業団も同居することから、現在進めている東京、神奈川、千葉、山梨を含む南関東エリアの血液センターについて、検査業務を集約化する方向だ。
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施設内の設備も改正薬事法や血液法に配慮。安全性の追求と安定的な供給体制が図れるようにするなど、血液事業の中核的施設にふさわしい設備を整備した。
さらに、羽田空港や東京港にも近い立地であることに加え、周辺地域に国や東京都が基幹的広域防災拠点を置くことが予定されていることから、災害時の貢献も期待されており、安全面ではこうした点も考慮し、電力二重引き込み化などがなされている。
記念式典では近衛忠輝社長が、辰巳ビルを中核的施設と位置づけ、血液事業の基盤強化を図っていきたいと強調。また、来賓として祝辞を述べた関英一厚生労働省医薬食品局血液対策課長らは、日赤の血液事業に対する取り組みを高く評価、今後への期待感を示した。