先の国会で成立した医療制度改革法では、生活習慣病予防のため、健康診査・保健指導の充実を図る方針が盛り込まれたが、日本経済団体連合会企業創造委員会ヘルスケア産業部会は、「効率的で質の高い特定健康診査・特定保健指導に向けて」と題し、健診・保健指導の円滑な実施基盤の整備を求める提言を取りまとめ、公表した。提言では健診・保健指導の具体的成果は、生活習慣病の有病者や予備軍を減少させることだとし、行政、保険者、民間企業が共同歩調をとると共に、▽健診受診率の向上▽効果の高い保健指導サービスの確保▽効率的な実施体制の確立――を重要課題に挙げている。
健診受診率の向上に対しては、▽受診意識の醸成▽受診時の個人窓口負担の軽減▽身近な場所での受診機会の確保▽郵送による検査の活用――などに取り組むよう要請した。
効果の高い保健指導サービスの確保では、アウトソーシング基準案の明確化とQ&A資料作成の必要性を指摘すると共に、▽質の確保に必要な事項▽食生活指導における「管理栄養士」、及び運動指導における「健康運動指導士」以外の資格者の範囲▽救急時における応急処置のための設備の内容▽収益事業との区分の明確化の概念整理、特に商品等の勧誘・販売の禁止の内容――等の点について、論点の明確化が必要とした。
効率的な実施体制の確立では、保険者における運営体制の整備、データ授受・費用決済等の事務効率化、直接決済の実現に向けた検討などを行うよう求めている。さらにその他の論点として、保険者への財政支援や健診価格の地域格差への対応を挙げている。